風力発電 日本の国が今やるべきことは

NHK沸騰都市シンガポール」を見ました。そしてその中でシンガポールのリー・シェンロン首相(あの有名なリー・クアンユー首相の息子)は世界中から優秀な人材を集め研究させ、また多くの海外の投資家を集め、(1億円以上投資した人に永住権を与えられる)あらゆる企画に投資させ、それらを国家の経済発展に結びつける政策を実行しています。


科学研究については、バイオポリスを立ち上げ世界中の優秀なバイオ関連の研究者を引き抜いて、最先端の設備で研究に取り組み、現在の未曾有の経済危機をチャンスと観て、危機回復後には国家経済のジャンプアップが可能であると考えています。

『日本最先端の癌関連のある研究者も、停年後シンガポールで研究を続けています。日本では政治家には停年制が無いにも関わらず、いかに優秀な最先端の研究者といえども、公的な組織で働くものには停年制を機能させています。この研究者は日本での定年後迷うことなくシンガポールでの研究活動の道を選びました。』

そして他に、新規に地球環境関連の研究施設の建設が計画されています。

リー・シェンロン首相は、いみじくもこう述べています。
「日本は金を沢山持っているが、金の使い方を知らない。」

自民党定額給付金2兆円は、経済対策費75兆円のたかが75分の2であるという新聞広告を出していますが、我々から集めた税金2兆円を選挙対策の為ばら撒くのではなく、将来の国の発展に繋がるような経済対策費として使うべきです。

景気浮揚を狙った「東京オリンピック」も過去の夢よもう一度の願いが感じられますが、僅か数週間の為に、営々と築きあげた庶民の生活拠点をぶち壊して、国威発揚と経済発展を目指した北京オリンピックの後に何が残ったでしょうか。それでもBRICS諸国のように発展途上にあれば、まだ結論はでていませんが、何らかのメリットはあるかも知れません。

しかし東京でのオリンピックに、BRICS諸国で開催する以上のメリットがあるでしょうか?

経済の浮き沈みに右往左往する前に経済発展を遂げた日本には将来に向けてやるべき事があるんじゃないでしょうか。

リー・シェンロン首相がもう一つ面白いことを言っていました。
「日本では『ネマワシ』が必要だが我が国は国民が必要なことと認めれば、『根回し』の必要はない、国民が信任した首相が大事であると判断した事は、直ちに決定し実行されてゆく」シンガポールの戦略は、ミサイルを発射して世界の注目を集めようなんていうどこかのつまらなく貧しい独裁国家とはちがいます。

しかし日本のような時間のかかる「ネマワシ」が時代遅れな決定方法であると言う事をズバリと指摘しています。

日本は現在世界第二の経済大国であるにも関わらず、世界最先端の政策などは決定できない仕組みに成り下がっています。

平成14年3月、文部科学省「科学技術政策研究所」「科学技術動向研究センター」が、エネルギー開発において、興味深い提案を公表しています。

それは《深海洋上風力発電を利用するメタノール製造に関する提案》です。

概要
深海洋上風力発電利用メタノール製造システムは
・深海洋上の風力発電エネルギーにより、洋上船舶で水素を製造
・同船舶で水素と回収CO2を反応させてメタノールを製造

深海洋上風力に注目する理由は
自国経済水域内で大量に得られる再生可能エネルギーで、大型の風力発電を利用することにより、日本のエネルギー自給を可能とする、潜在エネルギー源

風力資源に恵まれた海域は
沖ノ鳥島周辺、三陸沖太平洋、北海道北西沖日本海などで
特に沖ノ鳥島は、いわゆる貿易風帯の北側周辺にあり安定した風力が得やすい

深海洋上の風力利用エネルギー生産システムは
・最終生産物としてメタノール
・深海洋上風力発電電力で水素を製造し、回収CO2と反応させてメタノール生産

深海洋上の風力利用エネルギー生産システムの具体的構成
・浮体型風力発電装置
・浮体型集中受送電装置
・水素・メタノール製造船

想定する海域でのメタノール生産可能量及び市場競争性
生産可能量→日本の総エネルギー需要を賄える
     →12億8212万KL/年
市場競争性→海外ガス田で合成されるメタノール価格と同等 
     →45円/L

                    
以上のように平成14年当時の技術力で可能な想定がなされています。

ケネディ大統領は「10年後に月面着陸を成功させる」という構想を打ち上げ、8年2カ月で実現させました。


この《深海洋上風力発電を利用するメタノール製造に関する提案》は夢物語ではなく、当然実行可能でしょう。

そして少なくともたかが一人1万2千円もらうよりもあるいは、オリンピックで、(クーベルタンの言った、「参加することに意義がある」を頑なに守る立場に立って)残念ながらなかなか勝てない日本選手を観るよりも、世界第2位の経済大国日本の国が今やるべきことは、上記のような、将来に希望の持てる計画の実行なのではないでしょうか?