風力発電 大新聞の調査不足の記事の論調

大新聞の新エネルギーについての記事をみると、常に風力発電割高コストを強調する論調であるのが目立ちます。


米国の地球環境問題研究者であり、アースポリシー研究所所長であるレスター・ブラウンが2001年に下記のレポートを提示しています。


(米国では、過去15年間で優良立地における風力発電のコストが急激に下がってきている。1980年代半ばには1キロワット時当たり35セントであったのが、2001年には4セントにまで低下した。)


上記新聞の報道によりますと、日本において発電単位(1Kw/h)コストが10円を切る水準をうかがうところまで下がったとあります。


素朴な疑問ですが、米国で2001年に1Kw/hあたり日本円で約5円を達成しているのに、何で技術の進歩している日本での、2007年におけるコストが10円なんでしょうか。

これは荒っぽい議論を吹っかけているわけではないのです。



日本の三菱重工業は自社開発の風力発電機を米国ハワイ州に37機、カリフォルニア州テハチャピに727機、他カリフォルニア州に211機で、米国に対し計975機もの納入実績があります。他に英国に100機以上、日本国内に約80基納入しています。

そしてさらに2006年6月にアメリ現地法人から、アメリカの風力発電所建設や拡張事業向けに大型の風力発電設備443基・総出力44万3000キロワットを一括受注したと発表しています(【発表リリース】)。受注額は想定300億円程度。


上記から三菱重工風力発電機1基あたり6800万円で納入している計算になります。


日本の風力発電所では、日本に優秀な風力発電機メーカーがありながら、殆どが、ヨーロッパのデンマークやドイツなどからわざわざ高い輸送費をかけて、1〜10機単位で発電機を輸入しています。


しかも三菱と同程度の能力の発電機を、1基当たり2億円程度で輸入しています。


日本製の発電機を使用するだけでイニシャルコストは、外国製の34%になってしまいます。しかも輸送費はヨーロッパから輸入する事を考えたら殆ど掛からないに近いはずです。


勿論これは大量生産の論理で、米国は1000機もの導入実績がありその上で443基もの大量注文ですので生産コストが大幅に下がるのは当然といえます。


日本の1〜10基単位の発注とは比べ物になりません。


大新聞は大局的な見方でこのような検証もせずに、表面的な数字ばかりを見て簡単に風力発電は発電コストが高い、そしてそれは貴方が払うんですよと言い切ってしまっています。


これはいかにも既存の電力会社の太鼓持ち的発想であり、本気で地球環境や、本当の安全性(原子力発電などに対する)をまったく考慮にいれていない証拠です。


記者の方も自分自身で世界の実態を研究し、よく確かめ、自社独自の見解と見識を持った報道をするべきでは。(記者の主要な論調が、一大学教授などの意見の丸投げになっている)


日本はぐずぐずせずに、再生可能エネルギーの導入に成功しているドイツを見習い、固定買取制度(FIT)を採用し、現在最も安全なエネルギー供給源である風力発電を取り入れてゆくべきです。


そして日本の優秀な発電機メーカー同士が開発を競うようになれば、コスト面で当然国産機を使うようになり、国内の景気の浮揚にも繋がります。


景観に配慮する事を忘れずに、風力発電の本格的な導入を図れば、大新聞が述べているように貴方がその高いコストを負担するような事にはなりません。