もっと真剣に風力発電に取り組むべき理由
私たちの国日本は海外から原材料を輸入し、これを加工して付加価値をつけ製品として海外に販売し成り立っている国であると学んで参りました。
一方エネルギーについては中東の石油や、世界一の埋蔵量を持つオーストラリアのウラニウムの輸入によって成り立っています。(最近第2位のカザフスタンとの取引を表明していますが、少なからずも価格の高騰を招くのではないでしょうか。)
強大になりつつある中国もウラニウムを求めてオーストラリアへその触手を伸ばし始めています。
また次世代の希少金属資源を持つ北朝鮮の将来への思惑もからんでアジア情勢は大きく変化しようとしています。
〔参考〕
世界のウラニウム需要 65000t/年
1次供給 35000t/年
(鉱山より掘り出される)
2次供給 30000t/年
(商用在庫、ロシア核兵器解体による)
今後2次供給は急激な減少10年後には受給が逼迫の予想
カザフスタンなども22年後には埋蔵枯渇の予想
日本の消費量 8000t/年
この調子でいくと、28年後には資源としてのウラニウムは枯渇する。
日本のエネルギー政策もコストや国家の防衛ばかりでなく地球温暖化も含めて再度真剣に、世界の潮流も鑑みて議論を深めていかなくてはならない時点に来ております。
しかしここでエネルギー源としてあまり信頼性や確実性のない風力発電の論議がクローズアップされる事は、現在の制度改革ないし、目標数値の大幅変更が行われない限りありえない事でしょう。
しかし、もし万が一風力発電にGOサインが出たとき、これまで我が国では日本列島改造論を錦の御旗に素晴らしい景観をコンクリートの不ぞろいな直線でぶち壊して来ましたが、これに拍車が掛かって景観を無視した不恰好な国土の風景が目にうかびます。
先ごろ風況のよさを理由に国立公園内での風力発電機建設に許可がでましたが、これまでのように効率重視で建設ラッシュが進んだ場合、美しい日本の姿がどこかへ行ってしまうのではないかといった問題が浮かび上がってきます。
デンマークでも風力発電施設の建設で、一番問題にされたのが周囲の景観とのマッチングであったと言われています。
中国やアメリカのように広い国土を持たず、石油やウラニウムのような資源もない国日本は、素晴らしい風景を犠牲にせずに風力エネルギーを確保してゆくにはどのような方法があると言うのでしょうか。
其の答えは日本を取り囲む広い海洋を利用した、洋上ウインドファームの開発しかないと思います。
現在の日本の方針である原子力発電では、最終的に高レベル放射性廃棄物の問題が残ります。以前にも述べましたが、ドイツは核分裂による原子力の利用は止める方向にあります。そして現在研究が進められている核融合による原子力の利用も他の方法よりコストが掛かりそうだと見込まれています。
なかなか受け入れ先のなかった、高レベル放射性廃棄物の処分施設をついに高知県のある町が受け入れようとしています。札束に目が眩んで、と失礼なことは言いませんが、都会からきた電力会社の人間が、札束に物を言わせ、美しい自然の郷土の土地を、末代に亘って(放射能の毒性が消えるのに3万年かかる)放射能の汚染による危険を抱える土地にしてしまおうとしています。
そんなことはない高レベル放射性廃棄物の処分施設の安全性は確保できると言うならば、電力会社の地下や、電力会社の責任者の自宅の地下あるいは国会議事堂の地下に廃棄したら、という議論になってしまいます。
輸送も含めて高レベル放射性廃棄物は、確実に危険が伴うのは周知の事実であるわけです。
国土が美しいという自覚のあるスカンジナビア諸国などはこのことから原子力離れが進んでいます。
本当にもっと真剣に風力発電に取り組むべき時期が来ているのではないでしょうか。
取り返しのつかない汚染の危機の伴わないクリーンなシステムの開発に、より力を入れていくのが人間の英知ではないでしょうか。