風力発電 CO2を排出しないと言うだけで判断しちゃっていいんですか

 風力発電は発電機を製造の際、そしてまた設置の際に取り付け道路を作ったり重機を使用するためCO2を発生させます。稼動後は、メンテナンスの際にCO2を少し発生します。後は低周波の駆動音が発生しますが、その他一切発生するものはありません。そして役目を終え、解体時にCO2を発生させます。


原子力発電ですが、ある発電機メーカーが「原子力発電はCO2を排出しません」という宣伝広告をだしていました。


また、原子力発電を使用する理由として「原子力発電はCO2を排出しないので」と、よく言われています。


しかし正確には、風力発電と同じく、発電機の製造時あるいは建設の際CO2を発生します。そしてさらに、燃料となるウラニウムを採掘する際もCO2を発生します。(風力発電の燃料は風だけです)したがって原子力発電自体はCO2を発生しませんが、稼動前あるいは稼動中別の場所でCO2を排出しているわけです。


1.そのほかに発電時に放射線が発生します。しかしこれは厚い鉄板やコンクリートで遮蔽され外へもれる心配は少ないのですが、年に一度請け負いの方たちによる、原子炉の清掃があります。彼らは原子炉にへばりついた放射能を含む死の灰をふき取るわけで、当然のことながら被曝します。そして国の基準を超える放射線を浴びてしまえば御用済みになってしまいます。(賃金が多少なりとも高いため、請負先を転々と替え、国の基準値以上の放射線を浴びている方々もいます。)

2.そのほかに発電時、多量の熱を放出しますので、大量の海水で冷却します。その際の温排水は海へ流します。原子力発電の発電効率は3割と言われているので残りの7割のエネルギーは温排水等で海へ廃棄されてしまうわけです。

3.そのほかに燃料の燃えカスとも言うべき(低レベル及び高レベルの)放射性廃棄物が残ります。これはガラス固化体にして地中深くへ埋めなくてはなりませんが、今だに候補地が見つかっていません。

この放射性廃棄物は人類の歴史を遥かに越えた時「半減期の長い長寿命核種(特に、ウラン235は7億年、ウラン238は45億年)」を待たなくてはその害毒は消滅しません。いったい誰が責任が取れるのでしょうか。

プルサーマル計画と言って放射性廃棄物をリサイクルする試みもなされています。
リサイクルした燃料(プルトニウム)をウラニウムに混ぜて、それを(MOX燃料と呼びます)再使用するわけです。(現在はフランスの工場でMOX燃料化して、輸送経路周辺諸国の反対を無視し危険を犯して、陸路及び海路にて搬送しています)

リサイクルというと、放射性廃棄物が全て再利用されるイメージがありますが、実際はほんの数パーセントであり、六ヶ所村の再処理工場では、元の使用済み燃料に比べてさらに約200倍もの放射性廃棄物を生み出すという試算値もあります。

しかも六ヶ所再処理工場計画の費用の全体は、現在でも明らかになっていません。そして建設費に加え今後は、施設修繕費・人件費等の運転費用、施設の解体・撤去費用、発生する超ウラン廃棄物の処理費用などが必要になり、計画の総額は10兆円以上にのぼると電気事業連合会は試算(2002年)しています。

これは通常の費用対効果(コスト意識)を逸脱しています。再処理工場をただそれを運営する人たちの達成の情熱の為だけに、大切な税金が垂れ流されるのはまったく許せません。(関係者たちはお前らに原子力は分からないと国民をなめきっている)


金融危機震源の国アメリカではコスト意識が徹底しています。1973年に発生した第一次石油危機以降の建設費の高騰のため、1974年以降原子力発電の開発をストップしています。原子力発電のコストが、石炭火力発電のコストより高くなった為、このようなクールな判断がされているわけです。

4.最後に原子力発電所施設が老朽化し取り壊しとなった際に大量の放射能汚染物質を廃棄しなければなりません。現在これを処分するコストは電気料金にまったく反映されていないので、将来の電気料金はどれだけ高騰することでしょうか。

そして電力会社は放射能に汚染された廃棄物を殆ど害がないとコメントしていますが、汚染された鉄などを喜んで使用する人がどこにいるでしょうか。これをコメントされた方が、放射能汚染された廃棄物で造った施設の中で暮らして安全性を証明してもらいたいものです。

このように、仮に風力発電の電力料金が、原子力より見かけ上高かったとしても、これだけの事実を知れば私は風力発電を選択しますが、如何でしょうか。